愛しの魔王サマ

③賑やかな日々



「おかわり―!」



トマのにぎやかな声が響き渡る。
頬をご飯でたらふくに膨らませながら皿を突出す。




「もう、トマ。あなた、ここにお世話になっている身なのに」



呆れた様子のエマは、トマから皿を受け取りそこに料理を足していく。
あれが姉の立場のエマなのか。

表情も穏やかに思える。




「んだよ、姉ちゃんも一緒に食べればいいのに」

「私は、マオさまにお仕えしているの。そもそも主と一緒に食事をとるなんて・・・」

「別に俺は、仕えてるわけじゃないし。姉ちゃんだって、堅苦しいこと言ってないで食べようぜ」

「もう、トマ!」




怒っているエマも、初めて見る。
これは、面白いな。




「くくっ、はははっ」




笑いがこみあげてくる。
これが人間か。
これが家族というものか。


ああ、面白い。


< 115 / 293 >

この作品をシェア

pagetop