愛しの魔王サマ
③賑やかな日々
「おかわり―!」
トマのにぎやかな声が響き渡る。
頬をご飯でたらふくに膨らませながら皿を突出す。
「もう、トマ。あなた、ここにお世話になっている身なのに」
呆れた様子のエマは、トマから皿を受け取りそこに料理を足していく。
あれが姉の立場のエマなのか。
表情も穏やかに思える。
「んだよ、姉ちゃんも一緒に食べればいいのに」
「私は、マオさまにお仕えしているの。そもそも主と一緒に食事をとるなんて・・・」
「別に俺は、仕えてるわけじゃないし。姉ちゃんだって、堅苦しいこと言ってないで食べようぜ」
「もう、トマ!」
怒っているエマも、初めて見る。
これは、面白いな。
「くくっ、はははっ」
笑いがこみあげてくる。
これが人間か。
これが家族というものか。
ああ、面白い。