愛しの魔王サマ
「マオさま・・・?」
「いや、すまん。そのようなエマを初めて見た」
「・・・お恥ずかしい。取り乱してしまい申し訳・・・」
「面白いのだ。別に責めているわけではない」
そう言うと、エマは恥ずかしそうに頬を染めた。
その表情もまた、普段簡単には見せん顔だ。
「マオさま、お茶を用意いたします」
「ああ」
エマはテキパキと仕事をこなす。
トマは相変わらずパクパクと次々と食べ続けている。
「まおーさま!なんか、人間がいるってきーたけど!」
賑やかな声が増える。
目を輝かせ耳をピクピク動かしながら入ってきたのは、ルカだ。
「うるさいのが増えたな」
「ね、ね、何。エマの弟だって?」
「うるさい。だったらなんだってんだ」
まとわりついてくるルカを追いやりながら怪訝な視線を送る。
全く動じないルカはニコニコと笑いながらトマを見た。