愛しの魔王サマ
「え・・・」
執務室に、エマとトマを呼び出し決めたことを早々に話した。
二人を人間界へ返す、そう決めたのだと。
エマは戸惑ったように視線を揺らす。
本当に、よく表情が変わるようになったものだ。
「今、なんと・・・」
「お前を人間界に返すことに決めた。そう言ったのだ」
「な、なぜ・・・。私は、マオさまと共に・・・!」
「初めは、そのつもりだったがな。気持ちが変わったのだ」
この先もずっと、エマが側にいればきっと楽しい日々が続いていくのだろう。
穏やかで、幸せな毎日。
それはどれほど望むものだろう。
それでも。
「お前がおらずとも、ここには優秀な家来はたくさんおるのだ。わざわざか弱き人間をいつまでも置いておくほど、俺様も寛容ではないのでな」
「そんな・・・。私を手放す気はないと言ってくださったじゃないですか!」
「それは、お前に帰る場所はないと思っていたからの事。お前にはトマという家族がおるとわかったのだ。お前の居場所はここ以外にもある」