愛しの魔王サマ
これでよかったのだ。
俺たちにとっても。
あいつらにとっても。
人間は人間同士。
魔物は魔物同士。
相容れない者同士がいつまでも共にいるべきではない。
どうせ、同じ時を生きることは叶わないのだから。
「世話になったな!」
清々しい表情を浮かべたトマが晴れやかにそう言った。
隣に立つエマは、最後まで沈んだ表情で物言いたげにいる。
三日などあっという間に経ち、とうとうエマが人間界へ帰る時が来た。
少ない荷物をまとめたエマたちを城の門のところまで見送りに出る。
「短い間ではあったが、エマには本当によくしてもらった。感謝している」
「・・・いえ」
エマは、目を合わせようとはせずうつむいたまま。
小さく息を吐き微笑むと、エマの頭にポン、と手を置いた。
ピクッと小さく震える身体。