愛しの魔王サマ
俺は、いったいどうするのが正解だったのだ。
「あいつが生きるべき場所は、同じ人間の生きるあちら側ではないか。それに、身寄りはないと思っていたが、あいつには家族がいたのだ。その家族とともにそちらに帰ることが・・・」
それが、エマの一番の幸せなのだと。
それが、エマが本当に望むことなのだと。
「マオさまは・・・」
「それを、・・・俺の生活に欠くことができないからと、引き止めておくのはただの傲慢ではないか」
「マオさまは、優しすぎるのです」
「・・・は?」
その声は、酷く落ち着いていて。
見上げたアドルフの顔は、なぜかひどく切なげに見えた。
「いつだって、他の誰かのため。他人の良かれと思われることを優先しようとされる。マオさま自身の想いとは違っていても」
「それのなにがいけないと言うのだ」
「いけないなど・・・。そんなことは申していません」