愛しの魔王サマ
「ですが、ただ・・・。あの地に戻ることが、果たして、本当にエマの望むことだったのでしょうか」
「な、に・・・?」
「エマは、マオさまの側にいたいとあんなにも訴えていたではありませんか。それが真実だとは考えられませんか?」
なにが言いたいのだ。
優しいなどと言い出したかと思えば、結局はエマを人間界に戻したことの苦言というわけか。
ああ、そうだった。
エマはアドルフが俺への誕生日プレゼントと称して連れてきたのだった。
「お前は、自分が贈った人間が手放され怒っているのか」
「違います!私は!」
「それ以外、どんな理由がある。お前からの贈り物を手放され、お前がないがしろにされたとでも思ったのか?馬鹿げた思考だな」
「そんなことは決して!私はただ、マオさまは、あまりに人の事ばかりを考えすぎていると言いたいだけで!」