愛しの魔王サマ
「まおーさま!!」
「うわっ!!」
廊下を歩いていると突然明るい声とともに重量感がのしかかってくる。
それが誰かなんて振り向かずともわかる。
「ルカ、お前はもう少し落ち着いて登場できないのか」
「俺のまおーさまへの愛がそれを許してくれないです」
「気色の悪いことを言うな」
グイッと首に巻きついた腕を掴むと強引に引きはがす。
ルカはそれに抵抗はせず大人しく離れるとニコニコ笑った顔で俺を見る。
こいつはいつも笑っているな。
なにがこんなに楽しいのやら。
「お前は、何がそんなに楽しいのだ」
「え?」
「そんなヘラヘラとよく笑っていられるな」
「だって、まおーさまがいるから」
なんのこともなしに言いのけてしまう。
どうしてそこまで、おれに慕ってくれるのだろうか。