愛しの魔王サマ
なんだ、これは。
この感覚は。
血が、沸き立つような。
喉が、乾く感覚。
――血がホシイ
誰だ・・・。
ギュッと胸元を掴み痛みに耐える。
この感覚、・・・初めてでは、ない?
この、自分が自分ではなくなるような感覚。
俺は、知っている・・・?
「マオさま、明日の公務の確認ができていなかったので参りました。あけてよろしいですか」
扉の向こうからノックと、アドルフの声。
扉の方に手を伸ばし声を出そうとするが敵わずカラカラと掠れた吐息だけが漏れた。
「マオさま?・・・開けますよ」
怪訝な声の後、ゆっくりと開かれていく扉。
開かれた扉の向こうに立っていたアドルフが、俺の姿を見てハッとした顔をしてすぐに駆けつけてくる。
「マオさま!!」