愛しの魔王サマ
「お前は、おれになにを隠している」
俺は、アドルフの言葉を信じるしかなかったというのに。
そのアドルフに何かを隠され、騙されていたとなれば。
俺の存在はすべて嘘になってしまう。
俺を魔王だと言ったのは。
そうして魔王として育て上げたのは。
紛れもなく、アドルフなのだ。
「アドルフ・・・。俺は、本当にお前を信用していいのか?」
「・・・マオさま。私は、いつだってあなた様の事を一番に考えています!それだけは信じてください!」
「ならば話せ!すべてを!隠し事は許さん!」
「っ、それは・・・」
口ごもるアドルフに憤りを感じる。
なにをそこまで隠されねばならん。
俺が何者で、何が起きているのか。
それを俺は知る権利があるはずだ。
「・・・・わかりました。すべて、お話いたします・・・」
少し間をおいて、苦しげにそう言った。