愛しの魔王サマ


「まっっおーさまっ!!」



すこぶる明るい声で現れたのは、ルカ。
部屋で籠っていても思考はマイナス方向へ向かうだけだと庭に出てきた途端にこれだ。




「・・・騒々しい、なんだ」

「なんだって、久しぶりに会えて嬉しいんですよ!最近自室にこもって出てきてくれないじゃないですか!」



俺の世話をしてくれるのはもっぱらチチ、トトのためルカとは顔を合わせることは確かになかった。
だが、それもここ数日の事。

たかだか数日に大げさなのだ。




「俺も、ここ好きなんですよ!花は綺麗だし、空は青いし。落ち着きますよね」

「・・・ああ」

「前、ここでエマと話をしたの思い出すなぁ」

「そうなのか」

「なんか、これまでの環境との違いに戸惑ってたみたいでした。でも、いろいろ話したら少しはふっ切れたみたいでしたけど」




そんなことがあったのか。
知らなかったな。

エマ・・・。
今頃どうしているだろうか。




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