愛しの魔王サマ
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どれ程、気を失っていたのだろう。
ああ、よかった。
未だ、俺だ。
身体を起こし腕に巻いたハンカチをほどけば、傷は綺麗に塞がっていた。
便利な身体だと思う。
ハンカチも、服も汚れてしまった。
洗濯に出せば気づかれてしまう。
俺は仕方なく服を脱ぐと、それをゴミ袋に詰め誰もあける事のないあの“俺は魔王だ!”と書いた紙の貼ってある箱の中に押し込んだ。
そして、同時にその紙も剥がし、そのゴミ袋の中に押し込んだ。
そのまま、自室の風呂に入ると、ゆっくりと肩までつかり疲労をとる。
風呂の中の鏡で見た自分の顔は、酷くやつれ不気味なほどだった。
これでは、なにかあったと丸わかりだな。
いや、どうせわかったとして、アドルフはもう俺に以前のように苦言を言ったり心配をしたりすることはないのか・・・。
もう、以前の生活には、きっと戻れないのだ。