愛しの魔王サマ
「魔王を出せ!」
「魔王は殺してやる!!」
人間は口々にそう叫ぶ。
かつての魔王の所業を思えば仕方のないことだとわかってはいても。
人間にとっては果て無く遠い過去の話だ。
それなのに、こんなにも強い憎しみを持って向かってくるなんて・・・。
アドルフにとっては、予想外であった。
あの所業を、トキが解決してくれるとは思わないが、人間とは時に無情なものだという事もわかっていた。
それでも、許せぬこともあるのだと、また知ることとなった。
「マオさまには、関係のないことなのに・・・」
魔王という器を持っているだけ。
その中のマオには身に覚えも、なにもない出来事。
だから許されることだと簡単には思いはしないが、アドルフは苦渋の想いだった。