愛しの魔王サマ
キリのない争い。
本気を出せば一瞬であることは明らかだったが、それでは何も生まない。
どうにか追い返せはしないかと考えあぐねるまま、ただ薙ぎ払うだけになってしまっている現状。
「あー!うっとい!」
ルカの苛立ちも頂点に達していた。
その時。
「魔王だ!魔王がいたぞ!」
人間が口々に声をあげたのだ。
そんなまさか、そんな思いでアドルフとルカはその声の方へと視線を向けた。
そこには、まさしくマオが武器も何も持たない状態で現れたのだ。
武器などなくても、マオの強さはアドルフたちもわかってはいたが、丸腰の状態で現れたことに不安を覚える。
いったい、なにをするつもりなのかと。