愛しの魔王サマ


「・・・お前は、俺が嫌になったのか」



俯いたまま、ポツリとそう告げた。




「なにか、言いましたか?」




その言葉はアドルフには聞こえていないようでそう聞き返された。
俺は、膝の上で握った拳に一層力を込めた。




「・・・朝食はいらん。ほしくない」




俺はそう言い残すと部屋を出て行った。




俺はそのまま階段を下り、城を出ると中庭に出た。
花が植えられている綺麗な花壇。


そこにあるベンチに座って空を仰いだ。




ガキみたいだ、あんなこと言うなんて。



・・・そうだ。
俺は魔王だ。



どんなものが側につこうとそれを支配できないようでは、魔王の名が廃るのではないか!?




俺は、魔王なのだから。





――お久しぶりです。お迎えにあがりました。






――魔王さま





「・・・戻るか」




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