愛しの魔王サマ
「やめろ!まおーさまにこれ以上手を出すな!一歩でも近づいてみろ!貴様ら全員八つ裂きにしてやる!」
ポロポロと涙をあふれさせながらルカが威嚇する。
人間はその迫力に、怖気づき振り上げた剣をおろしい後ずさった。
「な、化け物め!魔王なんか、殺してしまった方がいいに決まってる!」
「そ、そうだそうだ!」
「覚醒してしまったら最期なんだろ!俺たちゃ、死にたくねぇんだ!大事な家族だっているんだ!」
「だったら!無抵抗な相手を嬲り殺していいって言うのかよ!」
ぐったりと、倒れたマオの身体に覆いかぶさり護りながら、ルカが叫ぶ。
マオの身体からは、止まることのない血がドクドクとあふれ出ていた。
「・・・っ、だ、だって、仕方ないじゃないか」
そう言いながらも、それ以上誰も剣をあげることはできず人間たちは引き返していった。
「・・・っ、まおーさま、まおーさまっ!」
「揺らさないで!血を止めなければ!」
意識を失ったマオの身体。
アドルフは傷の深い場所から止血をしていった。