愛しの魔王サマ
「マオさまの身体は、どの魔物よりも特別なのです。ですから、死ぬことはないでしょう・・・。ですが、力が弱まれば・・・」
魔物を呼び出す隙となってしまう。
だからこそ、これまで襲撃があっても安全な場所に隠れてもらっていたのに。
「なぜ、あのようなことを・・・」
マオを自室に運び手当を施す。
「マオさまの、治癒能力でおそらく傷はすぐ塞がるでしょう・・・」
「よかった・・・。まおーさま死んじゃったらどうしようかと・・・」
「・・・ルカ、あなたはマオさまの事どれだけ知っているのです?」
核心に触れてしまいそうで、今まで訪ねてこなかったこと。
魔界でも、歴代の魔王の事を知っているものは多い。
もちろん知らずにいる者たちもいるのは確かではあるが、どこからか噂は流れてくるものだ。
「・・・たぶん、ほとんど知ってる」
「知っていて、側にいるというのですか?」
「うん・・・。そう、決めたから」
ルカはそう言うと、痛みに顔を顰めて眠るマオの側に座る。
アドルフは、それ以上問う事をやめた。
「なにか、力になる食事を用意してきます。マオさまの事、お願いしてもよろしいですか?」
「・・・うん。まかせて」