愛しの魔王サマ
しばらくし、料理の準備を整えいつマオが目覚めてもすぐに出せるように手配をしたアドルフが部屋の前まで戻ってくると、中からルカの叫ぶような声が聞こえた。
「何事ですか!?」
慌てて中に入ると、ルカが泣き顔で振り向いた。
「ねぇ、ほんとに傷すぐ塞がんの?血、血が・・・」
青ざめた顔でルカがアドルフを見た。
ルカが掴んでいるベッドのシーツがじわじわと赤く染まっていっているのに、気づいた。
「どうして・・・っ」
確かに、酷く傷ついた。
それでも、マオの治癒能力を考えれば、傷自体はすぐに消えなくとも、出血を止める程度はすぐにできていたはずだった。
だからこそ、簡単な止血で済ませていたのだが・・・。
止まりきっていなかった血がじわじわとベッドを染めていたのだ。
「どうして、もう止まっていてもおかしくないのに!」
「なあ!どうすればいいの!?まおーさま、大丈夫なんだよね!?」
混乱する頭。
いったい、何が起きているというのか。
「もう一度、ちゃんと止血をします!手伝って!」
アドルフはルカに指示を出し、綺麗な布を用意するとマオの身体の止血を始めた。