愛しの魔王サマ
「まおーさま、もしかして、自分で腕を指して我に返ろうとしてたんじゃ・・・」
「マオさま・・・」
ギリギリと血に染まった服を握りしめる。
悔しさに歯を噛み締め、アドルフは憤りを感じた。
自分のせいだ。
真実を知られ、どう接したらいいかわからなくなって避けてしまった。
発作が起きる可能性を考えもせずに。
そんな自分のせいで、マオは発作に一人で耐えていたというのか。
「でも、・・・アドルフと気まずい感じになってたのってここ数日だよな?」
「え、ええ・・・。4日ほどだと・・・」
「それにしては、多くない?ここに在るだけで3着ある・・・。こんなに、頻繁に発作って起きてたの?」
ルカの疑問に、アドルフはハッとした。
そんなわけがない。
これまでの発作は、短くて1週間の時もあったが、一月に一度くらいの頻度であった。
それがこれだけの間にこんなにも発作が起きていたというのか?
「そんな・・・、そんな、もう、時間がないというのですか・・・?マオさま、マオさまを失いたくない・・・」
「アドルフ・・・。考えよう!マオさまを護る方法!」
「・・・ですが、そんなもの・・・」