愛しの魔王サマ


マオがいなければ、きっと今の自分はいないだろう。
きっと、今でもどこかのお偉い人の奴隷のようなことをやっていたのだろうと思うと、マオの事を忘れることなどできなかった。


まるで突き放されるように追い出された城。
なにがいけなかったのだろうか。


戻ってきて、何度も何度も、考えてみたがその答えはわからないままだ。




「あの、少し考えてもいいでしょうか」

「ええ、もちろん!一角の花がもうすぐ枯れてしまいそうなの。だからその後に植える花を、ゆっくり考えてね」

「はい。かしこまりました」




笑顔も、ぎこちなくだけど作れるようになった。
笑っていた方がいい。
そう言ってくれたマオの言葉を懸命に護る日々。



「今日はもういいから、帰りなさい」

「え、ですが、まだ・・・」

「今日はもう、掃除するところも、手が必要なところもないわ。たまには早く帰って弟さんに美味しいものでも作ってあげなさいな」

「・・・ありがとうございます」




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