愛しの魔王サマ
こんなにいい働き場を探してくれたトマにはとても感謝していた。
自分と同じように、一緒に暮らすことを夢見てくれていたと知った時には、本当にうれしかった。
そして、ずっと願っていた共に暮らす夢がかなったことは、とても幸せなことだと心から思う。
でも、どこかぽっかりと穴が開いたような感覚がエマを包んでいた。
「おかえり、トマ」
「ただいまー」
トマも、近くのレストランでの下働きの仕事をしていた。
朝早くに出、夜遅くに帰ってくる忙しい日々を過ごしていた。
「お、なんかいい匂い」
「奥様が早く帰してくださったから、凝ったものを作ろうと思って」
「うわー!嬉しい!腹減ったんだー!」
「早く手を洗ってきなさい」