愛しの魔王サマ
二人で住むには少し狭いけれど、十分すぎる家を借り二人で暮らしている。
穏やかな日々、なにも恐れることも怯えることもない毎日。
「やっぱ、うまいな。姉ちゃんの飯は!」
「そんな事言って、トマの方が料理は上手でしょ」
「いや、だって、俺まだ下っ端だし。まだ料理なんかさせてもらえてないよ」
「それでも、その道に進むと決めたのは、少しは自信があるからでしょう」
「まぁ・・・。てか、必要に迫られて料理するようになったってだけだし」
照れたように頭を掻くと、嬉しそうに笑って料理を口に運ぶ。
こうして一緒に笑いあえることが嬉しい。
「そうだ、今度の休みさ、一緒にどっかいこうぜ」
「どっかって?」
「買い物でもいいし。せっかくなんだから、楽しく過ごしたいじゃん」
「うん。そうね」
トマが、なるべく楽しく過ごせるように気を利かせてくれていることはわかっていた。
マオの事をふっ切れていないエマに気付いていて、どうにか気を紛らわそうとしてくれているのだと。