愛しの魔王サマ
「私が今、こうして当たり前に生きていられるのは、マオさまがいたからなの。マオさまと出会わなければ、私は心を失った人形のままだった」
「・・・せっかく、俺たち一緒に暮らせるようになったんじゃないか。ずっと、夢だったのに・・・。姉ちゃんと暮らしたいってそれだけを思って・・・」
「私だって、トマと暮らす日を夢見てどんな苦痛にだって耐えてきた。今、こうして夢がかなって本当に幸せよ」
「だったら・・・!」
それでもエマは、まっすぐとトマを見据えた。
「マオさまの事、お慕いしているの。今、側にいたいの。マオさまの苦しい時に、お側にいたいの」
「慕うって・・・、好きってことかよ?そう言う意味で・・・?」
驚いたようなトマの声に、エマは迷いなく頷いた。
いつの間に、そんな気持ちが芽生えていたのだろうと思う。
それでも、そう認めてしまえば、ストンと納得ができた。
それはきっと、初恋で。
「恋人としてでなくていい。メイドとしてでいいから、お側にいたいの」
「・・・姉ちゃん・・・」