愛しの魔王サマ
「タオ・・・」
いつもなら、アドルフがタオルを持って待ちわびて、俺の身体を拭いて服も着せてくれる。
だが、今日からはあいつはいないのだろう。
ならば、タオルくらいはどこかに置いていてくれているのだろうな・・・。
と思いながら風呂の戸を開けた。
「お湯加減はいかがでしたか。魔王さま」
しかし、いつものアドルフのような言い方で、同じようにタオルを広げたエマがそこにはいた。
「おおおおおまえ!?なにをしているのだ!」
シレッとそこにいるが、こっちは風呂上り真っ裸なのだぞ!
風呂場に逃げ込もうと思ったが、逃げ込んだところでどうなるものでもないと悟り、エマからタオルだけを奪うと腰に巻きつけた。
「魔王さまのお身体を拭き、着替えを済ませることが私の仕事だと伺っております」
「そ、それにしてもだな!お前はお、お、女なのだろう!?俺は男だ!」
「・・・それはわかっておりますが」
「わかっていてバカ正直にそうやって待っていたのか!?お前はなぜそんな普通なんだ!」