愛しの魔王サマ
「俺が、・・・化け物であることに変わりはない」
「化け物なんて・・・。そんなわけない!」
ルカは必死にそう訴える。
それでも、俺は受け入れることなどできない。
許されるべきとも、思えない。
「たとえ、お前らにとってはそうでも・・・。人間からしたら、そんな事大した問題ではない・・・。傷ついた現実は重いものだろうからな・・・」
「そんな風に、思えるお方であるマオさまが、あの非道な魔王と同じ魂なわけがありません!これまでのどの魔王とも違う、確固たる意志をお持ちのマオさまなのですから!」
これまで魔王と同じだけ生き、側で見てきたアドルフ。
そのアドルフの言葉はとても重く。
でも、もういいのだ。
きっと、この身体はもう・・・それほど長く持たないのだろう。
別物だったとしても、魂の一部だったとしても。
どの道俺という魂は、チリも残らず消えていくのだ。
ただ最期に、少しでも、人間への罪滅ぼしができたのなら。
あれで許されるとは到底思えはしないが。
もしやすれば、また苦しい思いをさせてしまうかもしれないわけでもあるし。
ただの、自己満足に過ぎないのであろう。
それでも・・・。