愛しの魔王サマ
アドルフと、俺だけになった城の中はやけに静かに思えた。
静けさと伴うようにぽっかりと穴が開いたような寂しさ。
そんなものを感じるなど、俺もまだまだだな。
「マオさま、お茶の用意が整いました」
アドルフは、あれから以前のように俺の世話を始めた。
どういう思いを抱いているのかは、わからないが。
後ろめたさからなのか。
「・・・っ!」
胸が締め付けられるような痛みに手にしたカップを落とす。
派手に音を立て割れるカップ。
「マオさま!」
慌てた様子のアドルフが俺に駆け寄る。
発作の症状だ。
しかし、その発作はしばらくすると自然とおさまった。