愛しの魔王サマ
もっと動揺するとか、照れるとか、あるだろうが!
いや、コイツにそれを求めたのは間違いなのか?
エマが動揺するどころか、表情を変えるところを俺は一度も見たことがない。
本当に、なにも感じないのか?
こうすることも、ただの仕事の一環で。
言われたから当たり前にしているのか・・・。
「・・・と、とにかく。これからは風呂上りはタオルと着替えをここに用意しておくだけでよい。それくらい、自分でもできる」
「いえ。私が、私がいい付けられた仕事を放棄するわけにはいきません。できます。私は、できます!」
「は・・・?放棄ではない。俺がそうしろと言っているんだ」
なんだ?
急に感情的になった・・・?
今まで、感情的になることなんてなかっただろう。
「お願いします。お願いします!失敗しません。失敗はしませんから!」
「なにを言っている?こんな事に失敗もなにもないだろう」
なにに怯えているのだ?
訳が分からん。
「ご主人様、お願いします!殴らないで―――――」
「おい!」
頭を床に擦り付け怯えたように叫ぶエマ。
エマの前にしゃがみ、肩に触れた。
ビクッと肩を震わせたエマは、顔をあげ俺を見上げた。