愛しの魔王サマ


なにを、言い出すのだ?
慕う?




「マオさまを、ご主人様としてではなく・・・、一人の男の人として、好きなのです」

「なにを、好きとは、」

「側にいたいんです。マオさまの姿をずっと見ていたい。触れたい、触れて、欲しいのです」

「バカなことを。俺は魔物で、エマは人間なのだぞ」




好きだという感情を、俺はよく知らない。
側にいたい、触れたい、触れてほしい、そう願うことが好きだというのなら・・・。


ならば、俺がエマに抱く感情も・・・。




馬鹿馬鹿しい。




「俺は、時限爆弾付きの化け物だ。バカな幻想は消し去って、さっさと目の前から消えろ」

「マオさま!」




決意が揺らぐ。
やめてくれ。


もっといたいと願ってしまう。
この世界に縋り付きたくなってしまう。



消えたくない。
この身体は、俺のものだ。



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