愛しの魔王サマ
好き。
そんな感情など、知りたくないのだ。
そんな感情など、俺には必要ないのだから。
「マオさまがいなければ、今の私はいないのです!私の命は、マオさまに救われました!だから、マオさまのためにつかいたいんです。私の命も、人生も。マオさまと共に・・・!」
その手を、汚したくなどなかった。
その心を、少しでも揺らがせたくなかった。
それでも。
もう目の前まで訪れているタイムリミットが、決意を固めろと警告を出している。
出来る事なら・・・。
「・・・わかった。お前には、俺のために働いてもらう」
でも、それがかなわぬのなら。
ならば、そうだ、それもいい。
エマの手で俺のすべてを終わらせてもらうのも。
ああ、それはいいかもしれない。
エマの手で終わらせてもらえるのなら。
愛した女の手で死ねるのなら―――――。
愛した・・・。
俺は、エマを・・・?