愛しの魔王サマ
②タイムリミット
穏やかな朝。
「おはようございます、マオさま」
少し頬を赤らめたエマが布団の中からそう言った。
「ああ」
俺はそう短く答えながら起き上りベッドから降りる。
窓から見える空は蒼く澄んでいる。
「エマ」
「はい・・・」
そう呼んで、振り向きざまに唇を重ねた。
柔らかな感触が、ふに、と触れ合う。
ピクッとエマの身体がかすかに震えた。
「好きな者とは、こうするのであろう?」
昨晩寝る前にチラリと読んだ小説にそう書いてあった。
悪戯に笑って見せると、エマは一層顔を赤らめる。
「そ、それは、マオさまも、私のことを・・・」
「腹が減った、朝食にするぞ」
「え、あ、はい・・・」
エマの問いかけにはわざと答えず遮るように話を切り替えた。