愛しの魔王サマ


小説を読んで、自分の気持ちもはっきりとした。
俺も、エマの事を好いているのだと。



最後に、そんな気持ちを抱けたこと、感謝しなければな。




それでも、離れた地で幸せに暮らしてほしいと願った気持ちも嘘ではなかった。
巻き込みたくないと願うその気持ちも、俺がエマを好いていたという気持ちの表れなのだろうか。




朝食を済ませると、エマと共に庭に出た。
庭には色とりどりの花が咲いている。

アドルフが手入れをしている花たちだ。




「俺は、この場所が好きだ」

「はい。私もです」

「どんなこともちっぽけだと思わせてくれる」





俺が、化け物であるという事も、忘れさせてくれる。





「エマ、お前は俺に出会って変れたと言った」

「はい」

「・・・お前と出会って変れたのはこの俺だ」




きっと出会わなければこんな気持ちも知れなかった。
きっと出会わなければこの決意さえもできなかった。


大切なものを護りたい。
この手で護るのだと。




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