愛しの魔王サマ
「ル、ルカさま!ルカさま、私・・・」
「はは・・・、平気だって、かすっただけ・・・」
だがこれは、ただの剣ではない。
魔王討伐のための、魔剣だ・・・。
心の臓を貫かなければ真の力は発揮されないとはいえ、ただの傷とは違うはずだ。
こんなはずではなかったのに。
「どけろ、邪魔を、するな」
時間がないのだ。
タイムリミットは、もう・・・。
抑え込む力は、ほとんど残ってはにない。
「いやだ。これ以外の方法を探そう!きっと、あるはずだよ!まおーさまがいなくなるなんて、絶対に嫌だ!」
俺は、護りたかったのだ。
大切なものをこの手で。
護れると、思っていたのに。
ただ、傷つけただけで終わってしまうのか・・・?
もう、・・・。
ドクンッ、
無駄なのだ。
「・・・ククク、残念だったなぁ」
「え・・・」
「最期のチャンス、だったのに」