愛しの魔王サマ
③ルカの過去
生まれた時から俺は、出来損ないと言われてきた。
「や―いやーい!変化もできないできそこなーい」
「はんぱものー」
獣の姿にもなれず、人間の姿にも化けられず。
人の身体に獣の耳と尻尾のついた中途半端な姿。
それから変わることができない、出来損ない。
群れからは馬鹿にされ、貶され、最後には見捨てられた。
一人ぼっちになって。
それでも、別に平気だった。
群れの中にいたところで、孤独感だったし。
あんな奴らとずっと一緒なんて、反吐が出るくらいだ。
どうして生まれてきたのか。
どうしてこんな中途半端に生まれたのか。
そんな事ばかり嘆いていた。