愛しの魔王サマ
「なんの話だ?」
「だから、俺が変化もできない、獣でも人型でもない中途半端な姿だから!」
虚しい。
自分でそんな事を言わなくちゃいけないなんて。
聞こうなんて思わなければよかった。
「だから、なんの話だと言っている。変化が出来たらなんなのだ?今の生活に、化ける必要がある場面などあるか?」
「いや・・・、必要はないけど・・・。でも、変化はできて当たり前のことだし。それができないって・・・」
「必要ないことが出来んからと言って、なんの問題もないだろう」
問題ない・・・?
わからない。
それが本心?
だって、そんな事言ってくれた人誰もいない。
「アドルフに聞いた。この魔界には、気性の荒い魔物たちも多く存在していると。強いものが生き残る、そんな世界だと」
「そ、そう。だから―――」
「その中を、お前は生き残っていたのだろう?ならば、すごいことではないか。ハンデはあるのかもしれんが、そのハンデなど、お前はものともしていないという事だ」
「え・・・」