愛しの魔王サマ


綺麗だ。
呆然と、そんなことを思った。




「バカ野郎!考えなしか!」

「え・・・」




思いきり怒られた。
なんで・・・?


俺、まおーさまを護りたくて、必死に・・・。




「お前の命と引き換えに護られても嬉しくない!それに、そこまでして護ってもらわずとも、俺は自分の身くらい自分で護れる」

「で、でも、俺・・・」

「命を粗末にするな。お前の命も、俺の命も、同等だ」




俺の命が、まおーさまの命と同等?
そんなわけない。

“魔王さま”は誰よりも強い力を持った、魔物たちの頂点に立つヒト。
そんなまおーさまと、俺の命が同等なわけない。




「簡単に死ぬことは、許さん」

「まおーさまは、俺に、生きててほしいの・・・?」

「は?当然のことを聞くな。お前は、俺の騎士なんだろうが」





当たり前だと言ってのけるまおーさまに。
やっぱり俺は、救われる。





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