愛しの魔王サマ
「おはようございます、魔王さま」
「・・・ああ」
二日目ともなると、なるほど慣れるものだな。
相変わらずの無表情。
なにを考えておるのかわからん顔で俺の起床を迎える。
「本日は、魔王さまの公務とお伺いしております」
「・・・ああ。ただの、視察だ」
魔界がうまく回っているか。
困りごとはないかと回る。
ただの形式的なものだ。
そして、俺が唯一外に出れる日。
「・・・・・」
のそのそとベッドから起き、クローゼットに向かう。
昨日のことがあるからか、エマはついてこない。
「「まおーしゃまお着替えっ?」」
「ああ、頼んだ」
やってきたチチとトトにいつも通り着替えを任せる。
外に出れば、昨日と同じ一歩たりとも動いていないその位置でエマが待っていた。
「行くぞ」