愛しの魔王サマ
「ルカさま!」
エマが慌ててルカに駆け寄り支え起こす。
ルカは悔しそうに顔を歪め、魔王を睨みつけた。
「あなたなんかにマオさまは渡しません!絶対に、取り戻してみせます!」
「無駄なことを。もうあいつは消えた。どこにもいないのだ。諦めろ」
「そんなはずない!マオさまは、消えたりなんか・・・!」
願いにも似た叫び。
消えないでと願う。
マオの身体、マオの顔で話す目の前の魔王。
それでも、それはまるで別人だ。
こんなの、求めた姿じゃない。
魔王さまでいてほしいのは、こいつじゃない。
誰しもがそう強く思った。