愛しの魔王サマ


「大丈夫ですか、ルカさま。アドルフさまも・・・」



覚醒した魔王を地下牢に閉じ込め、アドルフたちは部屋に集まり手当をしていた。




「私は、平気です。ただの斬り傷ですので」

「・・・俺も、平気。だけど、身体に力はいんない」

「それって、平気と言わないのでは・・・」




心配そうにエマがルカを見る。
ルカは深く椅子に座りぐったりとしていた。




「当然です。儀式を行うための手順を踏んだ魔剣に斬られたのですから・・・。場所が違っていたら、大変な事でしたよ」

「はは・・・。命拾いしたかな」



ルカが苦笑しながら眉を寄せる。




「あの、・・・その、儀式というのは・・・。マオさまは、いったい何をしようとしていたのですか?」

「あー・・・、あれって、封印するんだっけ?勇者の持つ魔剣によって今までの魔王さまも封印されてきたって聞いたけど」

「それは、その通りです。ですが・・・、今回マオさまがしようとしていたのはおそらく、封印ではありません」




アドルフは、信じたくなどなかった。
かつて、文献でその方法を見たことがあった。
だが、それは必要ないものだとそう思っていた。




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