愛しの魔王サマ
だって、それは。
「あれは、魔王を封印するための儀式ではなく、消滅させるためのものです」
「しょう・・・めつ・・・?」
アドルフの言葉に、エマは目を見開く。
それは、ルカも同様だった。
「消滅ってなに!?なんで、そんな事・・・!」
「わかりません。でも、確かにあれは、一度文献で読んだ、消滅の儀式でした。・・・マオさまは、消滅することを選んだということ・・・」
「なんでそんな・・・っ。まおーさま、そんなに追い詰められてたわけ?俺・・・、気づけなかった・・・」
「それを言うなら、私もです。私は誰よりも側にいたのに・・・」
悔しそうに握った拳を額に押し付けギリギリと握りしめる。
「・・・どうして、消滅する道を選んだんでしょう・・・」
「どうして・・・。わかりません・・・。覚醒することが、それ程嫌だったという事でしょうか」
「でも、それなら封印でもよかったはずです。それでも、消滅を選んだのは・・・」