愛しの魔王サマ


カツ・・・カツ・・・
シン、と静まり返るそこに足音だけが響く。




「なんだ、俺様に用か?」




足音に気づき、声をあげたのは魔王。
拘束されたままの状態で、それでも、余裕を含んだその表情で尋ねてきた人物を見た。




「あなたに、聞きたいことがあります」




真っ直ぐ、怯まないように言い放つのは、エマ。
魔王はおかしそうににやけながら、言葉の続きを待つ。




「あなたは、マオさまの意識があった時のことも、覚えているのですか」

「・・・。ああ。もともとは、俺が支配していた身体だからな。あいつの思考も手に取るようにわかったぜ」

「思考も・・・。ならば、マオさまが封印ではなく、消滅の儀を選んだ理由もあなたは知っているという事ですか?」




臆することなく、隠すこともなくはっきりと問いただす。
マオの真意が知りたかった。

どうして、マオはその方法を選んだのか。




ただ、それだけが知りたい。




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