愛しの魔王サマ
「消えてない!マオさまは!絶対に取り戻す!あなたなんかに、負けるものですか!」
どうか。
どうか、聞いていてほしい。
きっと、魔王の中で眠っているマオさまに。
届いてほしい。
あなたが必要だと。
私たちは、諦めてはいないのだと。
「あなたの好き勝手には絶対にさせません!」
「せいぜい抵抗するんだな。今回も、愉しませてくれよ、人間」
あざ笑うかのような笑い声が、地下牢の中に響き渡る。
ああ、どうかマオさま。
もう一度姿を見せてほしい。
もう一度話しかけてほしい。
「俺は、魔王だ!」
胸を張ったあの声が、ひどく懐かしいのだ。