愛しの魔王サマ


「もしマオさまが、あの魔王の中で見ていたとして・・・。もし誰かが傷ついたとしたら・・・。誰かが命を落としたりなんかしたら・・・。きっと、マオさまは傷つきます。自分を責めてしまわれます」

「だからって・・・!」




ルカは、認めたくなくて叫ぶ。
本当は、そうするしかないとわかってはいても。




「そんな思い・・・させたくありません。マオさまが私たちやこの世界を護ろうと消滅する道を選んだのなら。私も、マオさまが護りたかったものを護りたいです」

「エマ・・・。そうですね・・・。それがマオさまが望むことなのなら」

「アドルフまで・・・」



最後まで、希望は捨てたくなかった。
何か方法があると信じたかった。



「どうしたらいいんだよ・・・。マオさまがいなくなったら・・・、俺、生きる意味ない・・・」

「ルカさま、そんな事言わないでください。マオさまは、ルカさまのことだって護りたかったんですから」





護られたくなんてない。
だって、そこにマオはいないのだから。

ルカは涙をぽろぽろと流した。




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