愛しの魔王サマ
「でも、エマ。あなたにそんな重荷を背負わせてしまって・・・」
「いいんです・・・。愛しているからこそ、私が・・・。他の誰かの手でなんて・・・絶対に嫌です」
アドルフの心配には迷いなく答えた。
エマの心には、すでに覚悟はできていた。
魔王からマオの言葉を聞くまでは、そんな事考えられなかったし、自分がなんてどうしても嫌だった。
でも。
マオの言葉を聞いて、覚悟というものができたのだ。
マオの身体で、マオの姿で、この世界を壊していく様を見たくはない。
マオが怖れていたことを、させたくはない。
その思いだけが、エマの決心を強くさせた。
「できうるフォローはすべてします。鎖のはずれた魔王はおそらく、簡単に封印も消滅もさせてはくれないでしょうから」
エマの覚悟に突き動かされアドルフがそう言った。
「・・・っ、俺も・・・。マオさまが魔物や人間を襲う姿は見たくない・・・。マオさまを護るって言ったから・・・。マオさまの願いも護らなきゃ・・・」
「ルカさま・・・。アドルフさま・・・。ありがとうございます」