愛しの魔王サマ
「残念だったなぁ!お前ら!完全に力が戻った!この世界はもう、俺様の手の中だ!」
城の外に出ると、魔王が高らかに笑って出迎えた。
すっかり力を取り戻した様子に、エマたちはギリッと唇を噛んだ。
「あなたの好きにはさせません!あなたを消滅させます!」
エマが臆することなく叫んだ。
「・・・エマ。お前は俺を消すのか?」
魔王の表情がフッと変わり、まるでマオのような口ぶりで悲しげにそう言い放った。
ハッとしてエマが怯む。
「え・・・マオさま・・・?」
覚悟が簡単に崩れそうになる。
それをアドルフが、エマの肩を揺らす。
「エマ!しっかりしなさい!あれはもう、魔王の魂です!惑わされないで!」
「あ・・・、は、はい」
諭すようにそう言われ、我に返ったエマは頭をぶんぶんと横に振る。