愛しの魔王サマ
そうすれば、もっと笑ってくれただろうか。
もっと、私を認めてくれただろうか。
「マオさま・・・っ!!」
それでも私にとってあなたは、マオさまで。
マオさまでしかなくて。
「黙れ!マオはもう消えたと言っているだろう!!」
同じ顔、同じ声で、同じ姿で敵意を向けるこの魔王ではない。
憎たらしくも愛らしい、そんなマオさまが好きなのだ。
あのお方だからこそ、私は付き従いたいと思うのです。
「だとしても!私たちの中のマオさまは消えません!」
例えこの拳が、同じ顔、同じ声で、同じ姿のこの魔王を傷つけたとしても。
嘆くのは、後にしよう。
この涙も早くしまってしまおう。
全て終わらせてから、時間など飽きるほどにあるだろうから。