愛しの魔王サマ
「クッ、・・・う・・・」
体中が痛い。
強すぎる相手。
まおーさまと同じ顔したソイツに。
ルカの身体は震える。
「負けるもんか・・・」
俺だって、マオさまって呼びたかった。
マオさまって呼んで憎まれ口叩かれて、それでもそのスタイルを変えないアドルフが羨ましかった。
俺はまおーさまに嫌われたくなくて、だからずっとまおーさまって呼んでた。
まおーさまに見捨てられたら、嫌われたら、行くところなんてなかったから。
――あー、まおーさまとお出かけなんて、俺幸せだなぁ
――お出かけではない!視察だ!
――そんなの、どっちでもいいんですよ。俺には
――お前、いい加減気色が悪いぞ
アドルフが羨ましくて、羨ましくて、俺が唯一見つけたまおーさまと近づけるスタイル。
そのスタイルは俺には合ってた。
まおーさまは、嫌な顔をしながらも、本気で俺を拒絶することなんてなかった。
呆れながらも受け入れて、うっとおしがりながらも、認めてくれてた。