愛しの魔王サマ
もしも。
もしも、もっと早くに思いを自覚できていたら。
その想いをマオさまにもっと早くに伝えることができていたら。
私の日々は、何か変わっただろうか。
「アドルフさま・・・、ルカさま・・・」
――おはようございます、マオさま
――・・・
――顔つきがすぐれないようですが
――なぜか、お前がよくわかってるんじゃないのか
きっと、今までの主と同じだと思っていた。
むしろ相手は人間ではない魔物だ。
気にいられなければ命を落とすことになるかもしれないと。
でも、マオさまは。
――しっかりしろ。誰も殴ったりなどしない。そもそも俺は、怒ってなどいないし、失敗したとも思っていない
――なにに怯えているのか知らんが。しっかりと、俺を見ろ
私を認めてくれ、受け入れてくれた。
私を否定することなく。
受け入れてくれたのだ。