愛しの魔王サマ
どうしても、あなたの魂がもうここに戻らないと言うのなら。
他の誰にも傷つけさせない。
私が。
私のこの手で、終わらせたいと願うのです。
思い出すのは、楽しかった記憶ばかり。
温かかった記憶ばかり。
ルカが魔王の前に立ちふさがる。
真っ直ぐに向かい意識がそちらに向いた瞬間、アドルフが後ろから羽交い絞めにする。
魔王は体をねじりアドルフの身体をつき放そうとする。
ルカも魔王の身体を抑えつけるのに加わった。
そこに、チチ・トトが鎖の両端を持って魔王の周りを飛び回る。
「くそ、小癪な奴らめ!」
抵抗を見せる。
しかし、覚悟を決めたアドルフたちは、抑える手を緩めることはない。
例え腕がもがれようとも。
例えここで命尽きようとも。
その思いだけが、必死に魔王へとしがみ付かせた。