愛しの魔王サマ
「これで・・・終わったんだな・・・」
「マオさま・・・」
「け、剣抜いてあげないと、可哀想だ・・・」
ルカが涙をぬぐいながらそう言うとマオの身体に刺さった剣を抜き取った。
痛々しい血の跡。
固く閉ざされた瞳。
「もう・・・マオさまは、お目覚めになることは、ないのですね・・・」
エマが顔を覆い泣き出す。
自分たちが選んだ道。
それはマオの望みだった。
それでも。
「でも、おかしいのです・・・」
「え・・・?」
「おかしいって?アドルフ、どういうことだよ」
マオの姿を呆然と見ていただけだったアドルフが、声を震わせながら唖然とそう言いだした。
「私が文献で読んだ、消滅の儀は・・・。その後魔王の身体はチリとなって消えると書いてありました」
「え・・・?」
「待てよ、それって、失敗したってこと?また、魔王は復活するかもしれねぇの・・・?」
「ですが、手順は正しかったはずです!」