愛しの魔王サマ
「じゃあなんでだよ」
「わかりません・・・。やはり、私の血では魔王さまの力に到底及ばなかったのでは・・・」
魔王の力と同等ほどの力を持つ純潔の魔物の血。
アドルフは、自分の血に問題があるのではと言い出したのだ。
「ですが、アドルフさま以外に、適任な方なんて・・・」
「ですが、失敗したとなると・・・、そうとしか考えられません・・・」
「失敗って・・・。どうなるんだよ。ただ気を失ってるだけで、また目を覚ましたら襲ってくるってこと?もう・・・魔王と戦う力なんて残ってないよ・・・」
「それは、私だってそうですよ・・・」
渾身の力だった。
一瞬の瞬間のために全ての力を出し切って。
それなのに、まさか失敗だなんて・・・。
「マオさまを護るなんて・・・、できなかったんだ・・・」
「ルカさま・・・。考えましょう。他に何か方法がないか・・・」
絶望に俯いたルカ。
エマは必死に慰めた。
エマの心は少しだけホッとしていた。
消えなかったマオの身体。
マオの魂は、戻らないと言うのに。