愛しの魔王サマ
「ま、マオさま!!!マオさまなのですね!!!」
ようやく顔を覗かせたエマは、なぜか泣いていてギョッとする。
何事だ。
「まおーさまぁぁぁ!!!」
「マオさまっ!」
気づけば、いつの間にかいたのかルカやアドルフまでも泣いていた。
なんだ、気色が悪い。
本当に、なんなのだ・・・。
俺の身体が動かないのと関係があるのか?
「身体が、動かんのだ・・・。どうにかしろ」
呆れながらそう言うと、エマが俺の身体を起こそうと背中の下に手を差し入れてくれる。
反対側からアドルフも手伝おうと手を差し入れた。
体が起こされ、自分の身体を見ると赤く染まった胸元。
「なんだこれは」
このせいで力が入らないのか。
それはわかったが、どういう状況なのか、全く理解できなかった。
「なにも覚えていらっしゃらないのですか?」
「あ?ああ・・・。気づいたらここに。その前の記憶も混沌としていてはっきりとしない」
「・・・一度魂を乗っ取られているためでしょうか」
乗っ取られた?
なんの話だ?